歯科治療はいよいよ新たなステージへ
歯科治療に大きな変化が起ころうしています。
実は歯科治療の手順・方法などは、大昔から大きく変わってはいません。
ある意味、それほど効率的で確立された治療法が大昔から存在していた、とも言えます。そのことがかえって歯科治療の変革を遅らせていたとも言えるかもしれません。
ところが近年、大変革が起ころうしています
それは「3Dプリンター」が発明され、それをどんどん進歩させていく欧米で発祥しました。
かつて歯科治療では、歯を削ると歯の型取りをして、それを硬い石膏に変えて、その石膏のうえで被せ物などを作成してきました。
それぞれの工程の中で、ヒューマンエラーや材料的誤差がどうしても生まれてきます。
しかし、大昔からその方法をずっと続けてきました。
エラーもまた当然に内包するものの一つで、そのエラーを少なくする努力を我々は求められてきました。
江戸時代に滝沢馬琴が入れ歯を作るために、入れ歯師に口の中の型取りをしてもらった資料が残っています。型取りは江戸時代に既に存在していたのです。
しかし、3Dプリンターの登場はそれらの長らく続いた治療過程を全て変えてしまいました。
カメラで口の中をスキャンして、そのスキャンしたデータをもとに3Dプリンターで被せ物を作ってしまいます。
もう型取りは必要ありません。
必要なのはスキャンしたデータだけです。
複数の工程は無くなり、データから3Dプリンターが被せ物を作るたった一つの工程しかありません。
このことは歯科医院の姿を大きく変えることになるでしょう。
20年後、歯科医院には型取りは無くなるはずです。
人為的・材料的エラーは最小になり、より精度の高い被せ物が作られるはずです。
そしてこの恩恵を最も受ける治療がおそらく「インプラント」になりそうです。
インプラントは、歯科医師が患者さんのCTやレントゲンを読み取り、知識と経験を駆使して、どこにインプラントを植えるのかを決め、そして高い集中力で一発勝負の手術に挑んできました。当然ヒューマンエラーが起きてしまいます。
ところが3Dプリンターは、インプラントの術式まで変えてしまいそうです。
患者さんのCTを元にインプラントを打つ方向や深さを決める「ガイド」を事前に3Dプリンターで作成するのです。
ヒューマンエラーが極端に少なくなり、オペ中に迷いがないため、オペ時間がとても少なくなります。
インプラントオペにおいて、「経験」や「集中力」という人為的な不確定要素が無くなり、CTを元に3Dプリンターを用いて作成したガイドを事前に用意し、客観的根拠のある「安全で安心な治療」へと大きく変化を遂げつつあります。
20年前まで私達の情報収集は、本とテレビとラジオでした。その3つしか無い時代がとても長かったです。そして今は情報をスマホで手に入れる時代です。スマホは私達の生活を一変させました。
3Dプリンターは、歯科治療に新時代を到来させつつあります。
この新しいインプラントオペを近いうちにリリィ歯科クリニックでも提供するべく勉強会に参加しています。
院長:西井大博